わかなdix-sept
しあわせだ
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まだこんなしあわせがこの世に存在していたなんて
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そして
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こうした体験をすることができるなんて...
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夢のようだ
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あなたとボランティア漫才をするまでは...
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このまま人生を全うするまで孤独に過ごすものだとばかり思っていた
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自身の知らないところで...
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過去に愛した女性がヒト知れず旅立ち
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落ち込む間もなく...
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アトリエを主宰しなければなかった
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でもその忙しさを逆に利用し...
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そのことを考えないようにと躍起になった
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皮肉なことに...
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それが功を奏し
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僅か数年でアトリエは軌道に乗り...
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町役場・町民の方々...
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さらには島外の方々からも支持を受けることとなった
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しかしその傍らで...
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無かったことにしている心の傷が時々疼き出し
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存在していることをまた思い出す
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どうしようもない絶望に...
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やり切れない思いで
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月夜の晩に桜の木を見つめながら...
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天に還ったあなたのことを考える
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夢で逢いたい
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だけどそれは一度もかなわなかった
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この20年間ずっと...
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自身を置き去りにしておきながら...
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愛が憎しみの感情へと変わる
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なぜ...
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自身はただあなたと二人で余生を過ごしたかっただけなのに
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その埋まることのない隙間を半ば持て余すように過ごしていた10年後
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あなたが現れた
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初めて会うのに...
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初めてではない
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その不思議な感情が...
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本当に少しずつ少しずつ...
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眼に見えないところで無かったことにしようとしていた傷に光が当たり始める
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そしてボランティア漫才で仲間たちと屈託なく過ごす愉しい時間
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さらには...
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あなたとの即興ピアノ連弾で
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傷は傷ではなかった
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と言うことに氣がついた瞬間
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20年間居座っていた錘がスッと消え
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そして見つけたのが...
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新しい芽
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純粋で澱みのない若葉
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こんな芽が育っていたなんて
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動揺し困惑した
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年齢差
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そして自身の過去と素性
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烏の頃には無かった世間体が否が応でも自身を取り巻く
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"この芽は知らない...自身のモノではない"
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無視しようとすればするほど
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なぜ無視するのだ?と内なる心がボリュームを最大にして自身に呼びかけてくる
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そして遂に自身は...
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公共の電波という最大の公開処刑場で降参し
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あなたへ想いを告げた
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これほどになるまで無視し続けるとこのようなことが起こる
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烏から人間に変容して20年
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まだまだ経験しなければならないことが山ほどあるのだと改めて感じた
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でもこれからは...
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あなたと二人
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喜怒哀楽を半分にし...
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分かち合って生きていく
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もう同じ失敗は繰り返さない
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大丈夫
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乗り越えられるからこそ出来事は起こる
≪わかなseize ∞ わかなdix-huit≫